AIは人間の創造性にとっての鏡であり、かなづちというかツールである. 拡張する道具でもあり、顕微鏡のように詳しく分解して理解するのに役に立つ.

プロセスを外部化することで、自分自身ではわからない 人間自身の創造のプロセスや感覚の動きをより詳細に理解する. 一旦外部化できたら、人とは違う方向にずらすことができる。 人間の創造性を超えるものをつくるのはすぐには難しいかもしれないが、ずらす・違う方向に向かせることなら可能.

AIの創造性は 垂直方向への前進というよりは水平方向への拡張. (そもそもアートに上下とかより優れたといった概念がしっくりこないというのはあるが)

AIがやることは基本的には限られた解の空間・探索空間を探索すること。以前はしらみつぶしにしか調べられなかったのが、解空間が極端に大きい囲碁の場合でもそこに埋まってる解の点に到達できるようになった。人間の直感に近い。
アートの場合、囲碁などと違うのは人間が解空間を決める。しかも人によっても違うし、時の流れとともに変わって行く。

AIでたとえば音楽や絵を作ることを考えた時に、最適化のように捉えてしまう。
使える色や音のパレットでピクセルや楽譜やピアノロールをうめていく、そのなかで人間の好みや音楽理論に則ってありえるパターンの解空間の中で最適なものに到達することを目指す。バッハのような音楽、レンブラントのような絵を書きたいと言うのならそれでいいが、本当に創造的なものは解空間自体を疑わないと生まれない。

AIをより創造的にするには、この世界で一番創造的なアルゴリズム = 進化の考え方を取り入れること。進化は数十億年続いている。しかも、オープンエンド。

AI時代のアーティストにかかわらず人間の役割は、この解空間がゆらぐように、意識的に広げて行くこと。これは何も新しくない、写実的な絵画が全盛の時に、カメラというテクノロジーが写実に対する最適化を極端に推し進めた時に、アーティストがなにをしたか、印象派を生み出し、キュビズムが続いた。

感性を拡張できるようになる = コントロールできるようになると
実はせばめようとする圧力の方が強くなる。夕焼けが綺麗だなーとか今かかっている音楽のベースの音色がいいなーとか考えるよりも、すぐにSlackに返信するように感性をシャットダウンする方向に集中力を高めるというお題目のもとにすすんでいく。そういうシステムに関しては資本主義の中で開発研究費がつきやすい。個々の人間ではなく、システムにとって都合のいい方向に人間がならされて行く。農業革命で農業というシステムが野生の動物を家畜化したように。

一方でその瞬間瞬間を楽しむとか、音楽を感じるといった感性はシステムには必要がない。最適化圧力と戦うこと、あるいは解空間そのものをねじまげることで、最適化圧力を無効にすることが、アーティストでありデザイナーであり、社会のあり方を考える人の責務。

徳井直生 — Qosmo, Inc. / Keio Univ. SFC Computational Creativity Lab — AIと創造性. http://naotokui.net/ http://qosmo.jp/ https://cclab.sfc.keio.ac.jp/

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